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愛玩彼女

第5章 『斗真』と『透』


大きく深呼吸、して。
再度目を閉じる。


「………なんで?」


だめ。
眠れない。
目を閉じて思い浮かぶのは。


『來』
『ライちゃん』


彼等の声。



「………」



触れられたわけじゃないのに、目を閉じればリアルにその感触を、感じる。



首筋に触れる、唇。
貪るように絡まる舌と舌。


そして。


「………っ」


無意識に、自分の掌は柔らかな膨らみに沈んだ。
のを。
残る理性が拒絶する。
だけど。
本能が、求める。


「……ふ…っ」


火照った体を前にして、理性なんて勝てるわけもなく。
自分の掌なのに、まるで違う生き物のように彼等の動きを再現していく。


『來、我慢しなくていいから』


だめ。
こんなの、駄目だってわかってるのに。


『ライちゃん、もっと見せて?』


無理。
止まんない。



いつの間にか下へと伸びた右手は、すでにびっしょりとなっているその場所へと触れ。
敏感になっているその突起を上下に擦っていく。


「ぃや……っ、ふぁ、ん」

だめ。
むり。
とまんない。


「――――----ッッ!!」




熱を昇華しようと無意識に指の動きを早めた、矢先。



カチャリ



と。
部屋のドアが開いたのだ。


「………」


嘘でしょ。


咄嗟に下着から指先を引き抜いて、そのまま、うずくまる。
幸い、布団は頭まで被ったままだからたぶん、気付かない。
このまま寝たふりを通せば、大丈夫。


大丈夫。
絶対、大丈夫。



ぎし、って。
ベッドを軋ませる音で、近くに座ったことが伝わる。
気配は近くにあることは感じるのに。
一向に動かない。

なんで?

余計に、心臓の音が響くようで落ち着かない。


ってか、どっち?


目閉じてるし、わかんないよ。
いや、開けたら起きてるのバレちゃうし。




不意に布団が剥がされて。
こめかみに、暖かい掌の感触。
撫でられるのは好き。
うん。
このまま、眠れそうなくらい心地いい。



だけど。
そんなあたしの思惑なんて、尽く壊していくのが彼等なのだ。


「それ、通用すると信じてるところがかわいいよね」


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