第4章 ほんとうの、理由
「それ、勝手にあたしに飲ませたのっ!?」
「そう。どんなのか聞かれなかったし」
避妊薬。
そう、言われたら。
それしか思い浮かぶわけないじゃない。
「だってそれ、どんな薬かわかってて……っ」
「うん。キミでちょっと、試させてもらったよ」
「な……っ」
にかあったら、とーすんのよっ?
わけのわからない薬飲ませるなんて………っ
「体に影響がないことは、俺たちが試して立証すみだよ?まぁもともと、毒になる成分は入れてないから」
嘘でしょ?
「あ、あたし………っ」
「お前さぁ、ただヤるだけで月100万なんて大金、貰えると思ったの?」
「それは………っ」
だって。
「それにライちゃん、借金あるよね?」
「え?」
「500万。ごめんね、調べちゃった」
「お前の実の親父が作った借金。母親は返済のために他の男と次々に結婚。だけど結局どうにもできなくて、保険金目当てに自殺、で、死にきれず病院で意識不明?」
「…………」
最悪。
一番知られたくなかったのに。
「どーすんの?借金。今辞めたら金ないじゃんお前」
「家も解約しちゃったよねぇ?」
「…………っ」
「どーする?そんな大金、今時臓器売っても払えるかなぁ?」
「…………」
臓器?
売る?
さすがにそのフレーズ、凍るよ、背筋。
「透お前、いいすぎ」
「ごめんね?冗談だよ?」
「……………」
でも確かに。
そんな大金、あたしには到底払えるわけない。
だけどここにいれば。
半年。
半年ここにいれば。
「別に。嫌ならいつやめてもいんだぜ?」
「…………」
辞める?
だって別に、辞める理由………なんて。
「迷いがあるなら、悪者になってあげるよ」
「…………お前の兄妹、ここ出たらどーやって生活すんの?」
「………ぇ」
斗真の発言に、目を細めて、透は追い討ちをかける。
追い討ち?
違う。
「ここにいるなら、家族の生活は保障するよ?」
違う。
これは。
救いの言葉、だ。