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愛玩彼女

第3章 体の異変


「頑張ったらご褒美、あげるよ?」
「…………っ」


駄目。
すっかり逆上せあがった体はもう、言うことを聞いてくれない。


『ご褒美』

たったその一言にさえ、体は勝手に熱をもちはじめるんだから。




「……………っ」


だけど。
床に足を着いてる感覚が全然ない。
歩く度に。
振動が伝わってきて次の一歩を踏み出すのを躊躇する。


「寄りかかっていいから」
「………ん」

斗真の、匂い。
ジャケットから香る斗真の匂いだけでも反応する体を制御できないのに。
加えて斗真の体温、とか。
平気な気がしない。


だけど。



「あれ、姉貴?」




なんとかエレベーターに乗り込んで、目の前にある部屋まであと数メートル。
やっと、終わる。
そう、安堵したその瞬間。
聞こえたのはよく聞き覚えのある、声だった。


「姉貴?どーかしました?」


咄嗟に斗真と透の背中へと隠されて。
生憎あたしから雷斗の顔は見えない。
そしてそれは相手も同じ事。


「ごめん、俺のお酒、ジュースと間違えて飲んじゃって」
「えぇ?すみません、何やってんだよったく。またご迷惑かけちゃってすみません。あとは俺がみますから」
「大丈夫だよ。ライトくん、こんな時間に買い物?」
「ああ、まぁ。ちょっとコンビニに」
「ライちゃんなら大丈夫。俺たちにも責任あるし」
「いや、でも………」


「!!」

「しー」

透と雷斗の会話の死角で、口にいきなり入ってきたのは指、2本。
斗真のジャケットを頭からすっぽりとかぶってるおかげでたぶん雷斗からは見えてない。


「――――――――---っっっ!!」






「あれ、ケータイ?」
「ああ、ほんとだ。じゃライトくん、こんな時間に気をつけてね」
「來、つかまってろ」
「ふ…………っ」

言いながら、動けなくなったあたしを斗真が横抱きして抱き抱え、そのままあたしは雷斗と一瞬も顔を合わせることなく。
悪魔たちの巣の中へと戻ってきたのだ。
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