第1章 契約成立!?
なんなの、この人。
笑ってるくせに人を威圧するような瞳。
吸い込まれる。
「…………へぇ、そりゃ、丁度いい」
誰?
あたしを通り越して彼の視線がとらえたのは。
あたしのすぐ後ろから現れたもう1人の、彼。
「10万やるよ」
何。
10万?
「斗真」
…………とーま?
「…………おせーんだよ、バカ」
「ごめんごめん。でもいい素材見つけてきたよー?」
は?
何の気なしに振り向いたあたしの視界にうつったのは。
真正面にいる彼、と。
まったくもって、同じ顔。
同じ、声。
「え、双子?」
何?
こんな美形、ふたりもいんの?
まったくもって、うりふたつなんだけど。
「………ふぅん?」
頭のてっぺんから爪先まで。
まるで舐められてるかのように見られた後、彼、は、満足したようにそう、笑った。
「ね?」
「上出来、透」
何が?
さっぱりわけわかんないんだけど。
「お前、さ」
「このまま俺たちにお持ち帰りされない?」
「―――――――----は?」
何?
何この流れ。
ああ、なんかの危ない勧誘みたいな?
「あたしあんまりそーゆーの興味なくて」
そそくさと帰ろうとすれば。
「あれ、いらない?10万」
「…………」
「お金困ってんじゃないの?」
「…………」
うう………。
10万?
10万もくれるの?
でもさ。
こんなにカッコ良ければいくらでもただで相手してくれる子いるんじゃ。
「いらねーの?」
「………」
うう…。
でもでも!
「………何、するの」
「そりゃぁ、ただで10万貰えると思ってんの?」
「………」
「やることなんて、ひとつっしょ?」
「………痛いの、とか?」
「何?お前痛いの好きなの」
「ち、違っ」
「大丈夫。俺たちの相手してくれればいーだけだから」