第1章 契約成立!?
ええっ?
何これ、何この展開。
頭着いてかないんだけど。
ってか絶対ヤバいって!
金返せ!なんて言われたらどーすんのよ。
今日もらったお金なんて夕食代に消えちゃったわよ?
「………はなし、てっ!」
停止中だった思考回路が戻ってきたところで強引に腕を振り払ってみるものの。
「ここどこっ!?」
見渡せば見渡すほどに全然知らない風景だ。
「は?ちょっと!」
あたしが軽く迷子を認識したってのに、その張本人はなんの悪びれもなくあたしから眼鏡をとり。
さらには頭痛するほどぎっちぎちに結んでいた髪を一瞬にして解いたんだ。
「あ、やっぱりかわいい」
「はぁ?」
う………っ。
抗議しようと睨み上げた視線。
は。
先ほど同様、あまりの美人ぷりに思わず言葉にするのを躊躇してしまう。
「俺の目に狂いはない」
「…………」
「隠してたって無駄だよ。キミからは美人な匂いしかしなかったからね」
どんな匂いよ、それ。
この人美人なわりに、頭悪いの?
「あんな場所に1秒だっていたくなくてさ、ごめんね?」
はっ。
そうだ!
それ!
「あんたが何を思っても勝手だけどね?あたしは大事なバイトの途中なのよ!邪魔してくれちゃってどーすんのよ返すお金なんてないのに!」
しかもこんな美人お持ち帰り、いや正確にはお持ち帰りされたんだけど、とにかくこんな美人と消えちゃって。
絶対明日金返せ!とか言われるよぉ。
「バイト?」
「そうよ!」
「ああ、それでそのかわいい顔隠してたんだ?」
「悪いっ?」
「んーや?」
もー、どーしてくれんのよバカっ。
「お金困ってんの?」
「そうよ!」
じゃなきゃ好き好んでこんなことするかっ!
「だからさっき、あんな態度だったの?」
「は?」
「不自然なくらい、距離おいてたからさ。彼女たちの引き立て役でも頼まれた?」
「………」