第3章 体の異変
「來、着替えた?」
「………」
「入るよ?」
「!!」
だめ!!
今無理無理無理ーっ!!
開けられる前にドアを自分の体でバリケード。
してはみるけど。
もちろんそんなの、全然バリケードになんかなんなくって。
男ふたりの力になんて敵うはずもなく。
簡単に開かされたドア。
と。
入ってきた彼等の視界にうつったのは、反動でその場に尻餅なんてついちゃってるあたしの情けない姿だ。
「……………ぅぅ」
恥ずかしい…………。
事の始まりは。
数時間前。
学校から帰ってリビングで宿題をしてる時だった。
珍しくケンカしながら、ふたりが帰ってきたんだ。
「え?ディナー?」
「そう!ライちゃんはフレンチとイタリアン、どっちがいい?」
「どっちも同じだろそれ。手っ取り早くバーでいいじゃん」
「ライちゃんは未成年だろ?お酒飲めねーじゃん」
「バレねーって」
「ライちゃんは、何が食べたいっ?」
「は?」
恐ろしく別の次元の話に、頭の処理能力がついてこない。
えぇー、と?
今日、夜食べに行くってことだよね?
たぶん。
「何食いたい?お前」
特に食べたいものとか、ないし。
「ライちゃん!」
えぇ?
あたしの意見必要なの、それ。
「……………ファミレス、とか?」
あはは、なんて笑ってみるけど。
「何?どこにあんの、それ」
「酒ある?」
「………」
真面目に返されちゃうと、地味に凹むやつね、それ。
この世にファミレス知らない人種がいたなんて。
絶対世の中、不平等だと思うの。