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愛玩彼女

第2章 新生活、開始!


「來」

「?」



どうやら制服はきちんとクリーニングされていたようで。
真新しいおろしたてかと錯覚してしまうくらいのそれに袖を通し、隣の玄関へと手をかければ。
ガチャンと音をたてながら、今しがた出てきたばかりの玄関からは双子の片割れが同じように出てきた。



「そいつらなら大丈夫だ」
「は?」
「家政婦がちゃんと送ってくし」

「か、せいふさん………っ、て!?」


何。
何なの。


この前まで今日食べるものにさえ頭を悩ませてたはずの嵯峨野家が。
古びて小さくなった上履きひとつ買ってあげられなかった嵯峨野家が、ですよ。

何?
そのセレブーな、響きっ!?


「………お前、ダイジョブ?」
「ぅえ!?え、あ、うん」


やばい。
頭の中の声、口から出てた?
けっこうあきれた顔でため息つく双子の片割れは、たぶん、とーま、かな?
なんとなく、雰囲気とか話し方が違うかなぁ?くらいで見分けてるから、この際名札でもつけてくんないかな。

まぁ、冗談だけど。

「何?」
「いや、なんでそこまでいろいろしてくれんのかなぁ?って」
「別に、金ならあまってっし」

なにそれ。
羨ましすぎる!
言ってみたい、そのセリフ!

「お前、気に入ったし」
「………やっぱり、とーまだ」
「斗真」
「?」
「とーまじゃねぇよ。舌足らずに呼ばれっとなんか気持ちわりぃ。」

………やっぱり、『斗真』だ。

「何?」
「双子でも全然違うなぁって」
「……ヒトのことで、そんなん笑えんだ」
「?」


斗真が俯き加減に呟いた言葉は。
低くて小さくて。
あたしの耳には聞き逃すくらいに小さくて。
首を傾げて斗真を見つめていた。

だけど。


「………ぇ、わ、何……っ!?」
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