第2章 新生活、開始!
「震えてる?怖いの?」
人差し指で背中をつー、と、なぞられれば。
ビクン、と。
俯いていた顔は自然と跳ね上がる。
ついでに。
ソファーに座ったまま傍観しているとーまと視線が絡んだ。
「何見つめあってんの、やけんだけど」
「るせぇ、さっさとやれ」
「………ぇ」
「言われなくても。ね?ライちゃん」
「ま、待って」
まさか。
待って。
「…………ぁ」
目の前にうつるふたりの美人を、交互に視線がとらえる。
「頭いいこ、好きだなぁ。………正解」
瞬間。
一気に目の前が真っ暗闇になった。
目の前でにっこりと微笑む王子さま。
瞳を細めて妖艶に、冷酷に、弧を描く口元。
彼の言葉は、あたしを奈落の底へと一気に突き落としたのだ。
「大丈夫、斗真は見てるだけだからさ」
「………ん…っ、んぅっ、は……っ、ぁ……っ!」
どのくらい、時間たったっけ。
さっきからいったいどのくらいたった?
「ん、ぁ、………も、やだぁ……っ」
さっきからずっと。
それこそ足の裏、ううん爪の先まで。
身体中舐められてる。
熱に浮かされた頭じゃなんにも考えられないし。
すでに体は指先一本動かない。
きちんと服を着こんでるとーるに対して、全部肌を晒してるのはあたしだけ。
もうこの快感に溺れてしまえば楽なのに。
なんにも考えずに溺れてしまえば。
だけどそれを羞恥心が全力で阻止をする。
「ライの感じてる顔、斗真に見せてあげたら」
快感に溺れそうになれば。
彼はそう、悪魔の囁きをあたしへと突き刺すのだ。
彼の言葉に一気に現実へと引き戻された体は、さらに羞恥に震える。
「いやぁ……っ」