第2章 新生活、開始!
「ほら」
彼、とーまに両脇を抱えられてストンと下ろされたのはふたりが座るソファーの真正面で。
ふたりそろって。
まるで鏡でも見てるかのように右手と左手をそれぞれソファーへと付きながら。
「……………っ」
向けられたのは鋭くも熱い視線で。
耐えきれずにスカートの裾をギュッと握って俯いた。
「何しにきたの、お前」
長いため息に、ビクン、と、肩が震える。
「來」
こんなとき。
とーるなら助けてくれるって勝手に思ってた。
とーまと違って優しいから。
あたし。
何思いあがってたんだろ。
『共有したいんだよね』
そう、彼はなんでもないかのようにさらっと告げた。
悪びれもなく。
まるでそれを嫌がる女の子が悪者かのように。
そんな人間が優しいなんてあるはずない。
「嫌なら、出てけば」
「………っ」
アパートも解約されちゃってるし、行くあてなんてないもん。
知ってるのに。
そんなこと知ってるのに。
足元を見るような片割れの暴言さえ、黙って許しちゃうんだ。
「……………」
うつむきながらも、制服に震える手をかければ。
満足したかのように彼等を取り巻く空気が、和らいだ気がした。
上衣をパサリと床へと落として。
次いで、スカートへと手をかける。
こんな明るい場所で。
しかも人に見られながら服を脱ぐなんて。
羞恥心で勝手に涙が溢れてくる。
手だけじゃなくて。
身体中が震える。
「……………っ」
「いい子だね、ライちゃん」
全て脱ぎ終わって、恐る恐る顔をあげれば聞こえてきた穏やかな声に。
ホッと安堵したのも束の間。
「でもまだこれ、残ってるよ?」