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愛玩彼女

第19章 番外編 映画鑑賞はお静かに


な、なにそれ。
そんなに夢中になっちゃう内容なわけ、この映画。
いやでも今日初日だし。
うーん、でもこのふたりなら事前に内容知っててもおかしくないよね。
良くわかんない繋がり、多いし。


「………食わねーの」


「!!食う!!食べるよ!」



うんうん。
映画って言ったらやっぱり、ポップコーン。
美味。
それにしても。
確かに真ん中のあたしが持つのがいちばんいいの、わかるんだけどね?
さっきから両端から手が伸びてきて。
なかなか手が出せない。
こんなでっかいの持ってるのもけっこう大変かも。






「………てかさ、やっぱりみんな後ろ来ないんだね」



後ろ2列、不自然なほど誰も来ない。
さっきからぞくぞくとそれなりに人が入っては来るわりに。


「買い占めたからな、席」

ん?


「人に囲まれて見るの、好きじゃないんだよね」


んん?


買い占めたって。
買い占めたって、この2列分!?

「何無駄遣い、してんの!?またあんたたちっ」
「しー、ライちゃん、始まるよ?」
「なんだよ、貸し切りやだっつったのお前じゃん」


ぐ……っ、ぅ。


このふたり、常識ってやつないんだった。
ふたりといるとあたしがおかしいのかといつも錯覚しちゃう。
おかしい。
たぶん変なのは、このふたりなのに。
叫びたいのをなんとか抑え、斗真が買ってきてくれたアイスティと一緒に飲み込んだ。
うん、まぁでも。
なんとなくデートな感じもして。
いろいろおかしなところは目を瞑ってもいいのかもしれない。


「今度はいやに機嫌いいじゃん」
「ライちゃん、なんか忙しいね?」



なんとでも言いなさい。
今日のあたしは、機嫌がいいのだ。
大好きなふたりとデートだし、大好きな煌くんの映画だし。
ちょっとやそっとじゃ、騒いだりなんてするもんか。




うん、まぁ。
ちょっとやそっとじゃ、ね。



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