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愛玩彼女

第19章 番外編 映画鑑賞はお静かに





「わぁ、いっぱい、人」
「初日だしね」
「食いもんと飲みもん買ってくるわ。先席行ってて」
「あ、と、とーま!」
「ん?」
「ポップコーン、買ってくれる?」


だ、だって。
映画館とかあんまり、来ないし。
ポップコーンなんて買う余裕、なかったし。
たまに来ても弟たちの戦隊ものに付き合わされたりだから、ポップコーンはあたしまで回って来ることなんてなかったんだもん。


「……あ、駄目なら、いい」

キョトン、てしてるふたりになぜか急に恥ずかしくなって。
あわてて中へと入ろうと足を向けた。


「待ってライちゃん」
「透?」
「斗真、ダブル買って来て。でっかいの!」
「了解」


「?」


「食べよ?ポップコーン。俺も好き」



「………うん」



ああ。
やっぱりこの笑顔。
癒されちゃうなぁ。



「………」


そー、いえば。
さっきからずっと視線、感じる。



「………透も斗真も目立つよね、ほんと」


映画館貸し切りにするのって。
こーゆーの避けるためだったり、するのかな。
斗真だってさっきからずっと、話しかける女の子多いし。
当の斗真は、ヘッドフォンしちゃって完全スルーだけど。



「ライちゃんがかわいいからじゃなくて?」

「!!」


こう、切り返しの早さが、さ。
手馴れ感出しちゃうんだよなぁ、透さん。



「めんどくさくなる前に席行こう?」
「あ、うん、ごめん」



差し出された掌を握れば。
恋人繋ぎ、へと。
手を絡める透の暖かい掌がなんだか、ちょっとくすぐったい。
なんとなく、ほんわかしちゃう。




「いちばん後ろ?」


「うん、映画集中したいでしょ?」



あ。
そーゆーこと。
後ろならわざわざ振り返らなきゃ、透も斗真も見えないか。
目立つ、って。
案外気、使うんだなぁ。




「ほら、ポップコーン」
「え」


どすん、て、隣に腰掛けた斗真が目の前に差し出したのは。
とんでもない大きさのポップコーン。


「こ、こんなに食べるの?」
「いちばんでかいやつ。そんなにでかくもねぇだろ?」
「映画始まったら食べらんないだろーから、今のうちに食べちゃいなよライちゃん」

「う、うん」


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