第2章 新生活、開始!
「あ、あのね雷斗、違うの。この人たちね、お父さんの親戚なんだって。偶然、昨日あって………その、面倒、見てくれるって言われて」
ごめんなさい。
カレカノ設定、無理です。
あたしにはハードルが果てしなく高すぎる。
「は?なんだよそれ、はじめからそーいえっての。何が彼氏だよ、バカ來!」
「ご、ごめんなさい」
「姉貴とこんな美人が付き合ってるなんて、あり得ねーし」
「………雷斗」
ぶつくさ言いながらも。
視線はずっと、ふたりを捉えたまま。
拭えない、警戒心。
だけどそれでも。
『児童相談所』の人がいない、事実に。
勘のいい雷斗がなにかを感じとったのは明らかで。
「………改めまして。嵯峨野雷斗です。よろしくお願いします」
キッチンの壁に寄りかかりながら傍観していた二人へと、雷斗は深々と、頭を下げた。
「お前の弟、しっかりしてんな」
「ほんと、ライちゃんのナイトみたい」
それから。
スゴいスピードであれよあれよとゆーまに部屋はキレイさっぱりものがなくなり。
気付けば例のふたりのマンション前。
あまりの豪華さに声も出ない弟たちを、優しく、たぶんとーるが案内してくれた。
それから。
適当に作った夕食をみんなで平らげて。
隣へと戻ろうとすれば。
弟たちには気づかれないようにやんわりと右腕が引かれて。
まっすぐに見据える『彼』の、熱い視線が重なった。
どっちか、なんてわからないんだもん。
無言でいられたら、わからない。
とにかく。
だから。
「ごめん。後片付けしてから帰るから、先に帰ってて」
って。
雷斗たちにまた、嘘をついたんだ。
「昔からなんか、正義感だけは強くって」
「あー、うん、なんかわかる」
「姉ちゃんは俺が守る、的な?」
「いや、そこまでは」
「お前が気付いねーだけじゃねーの」
目の前のガラステーブルから、お酒の入ったグラスを取るために伸ばされた斗真の腕。
それだけで先ほど言われた言葉が甦り、体がビクンて、警戒体勢へと入る。
「何、斗真、なんかしたの?」
「してねーし」
「怖がれてんじゃん」
笑顔で笑い飛ばす彼に対し、頬杖付きながら視線をそらすのはもう一人の彼。
「ねぇそれよりさ」