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愛玩彼女

第2章 新生活、開始!


「あ、お姉ちゃん!」


昨日と同じマンションのドアを開けたところで。
胸に飛び込んできたのは一番下の妹。
まだ幼稚園だ。


「すっごいんだよー、おっきな車でお迎え来てくれてね?先生たちビックリしてたの」
「実加」
「あのね、お風呂もすっごいおっきくてね?」
「うん」
「あとね、お部屋いっぱいあってね?」
「うん」


「お姉ちゃん、おかえりなさい」
「ただいま、天(そら)。」

「姉ちゃん」
「ただいま雷斗」



長男で中学1年の雷斗を筆頭に、小学2年生の天、幼稚園の実加。
全部で4人兄妹だ。



昨日。
あのあと。
いきなり荷造りやら片付けやらでバタバタしている我が家へと帰ってきた弟たちは。
いきなりの展開にポカン、と呆然とし、実加に限っては泣き出す始末。
それを笑顔でなだめて。
飴なんかくれちゃったくらいにして。
妹のご機嫌とりよろしく仲良くしちゃってる透に。
いや、正確には双子に。





「姉貴、この人たち何?」




至極不機嫌に。
ええそりゃもう、警戒心丸出しで。
中学生とは言っても、うちで一番しっかりしている長男は、自分よりもはるかにでかい長身のふたりを視線で捉え、思い切り睨み付けたのだ。
まぁそりゃそーだ。
いきなりの来訪者。
ましてや今まで生活していた馴染みの部屋からは。
瞬く間にものがなくなっていくんだから。
雷斗じゃなくたって警戒する。


「姉貴の、何?」
「いや、えーと…………」

思わず泳がせた視線。
なんて説明するのが正しいのか、正解をない頭の中から絞りだそうとすると。


「彼氏、だよ」


「は?」


思わず出てきた助け船に、弾かれるように振り向いたあたしと雷斗の声が見事にハモり。
同時に雷斗の不審気な視線。

「あ、うん。………実は昨日、付き合って」
「は?昨日?」
「あ、いや。え、と、昨日、雷斗たちのこと話たら、面倒見てくれる、って、ゆーから……」

ああ、我ながらほんと、苦しい言い訳。
こんなお姉ちゃんでほんと、ごめん。


「姉貴」


我が弟ながら、強いなこいつ。
いやそもそも、あたしもあんな説明されても信じるとは思えない。
思いっきり、不信感丸出しの視線に。
思わず項垂れた。
ついでに。
口から出てきた言葉は自分でもなかなか上出来なものだったように思える。



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