第17章 エンディングのその後は
好きなの。
ふたりが大好きなんだよ。
だけど恥ずかしくて。
ふたりに溺れてるの悟られるの、怖くて。
だからここに連れてきたの。
来たことないでしょう?
食べたことないでしょう?
どんな顔するかな。
いつも行く場所と、あまりにもかけ離れてるこの場所は、ふたりにはどううつる?
戸惑う?
躊躇する?
あたしが普通に入れちゃうこの場所は、ふたりには入れない?
やっぱりあたしとふたりは、住む世界が違うんだって。
認識出来ると思った。
いつかは終わるこの関係。
立場のある人たちだから。
立場のあるふたりが、ひとりの女を取り合いしてるなんてマスコミが喜びそうなネタ、いつまでもそばに置いとくわけない。
だから。
距離をおかなきゃって。
これ以上深入りしちゃ駄目だって。
そう、思ってたんだ。
愛されれば愛されるほど。
ぐずぐずに溶かされれば溶かされるほど。
勘違いしそうになるから。
あたしは。
ふたりの『ペット』なんだ、って。
忘れちゃいそうになるから。
だけど。
簡単にあたしの世界にも足を踏み入れてくれる。
美味しいって、食べてくれる。
訳もわからず泣き出したあたしを、本気で心配してくれる。
『あたし』を、見てくれる。
「ごめん、馬鹿だあたし」
今さら何言ってんだろう。
この関係が終わろうが、あたしが好きになったふたりだし。
こんなにも愛されただけで幸せだったのに。
なに、欲張ろうとしてたんだろう。
ふたりにとってはどちらの世界もはじめから同じだったのに。
ふたりに見つけてもらえたあの時に、すでに世界は繋がっていたんだ。
あっちの世界もこっちの世界もないじゃん。
住む世界なんて、同じだったんだから。
彼等にとってははじめから。
ただ、あたしがこだわってただけだったんだ。
「……もー、ほんと、ぉかし」
「來?お前ほんと、大丈夫?」
「大丈夫」
「ライちゃん?」
「もーほんと、大丈夫。吹っ切れた」
「は?」
「斗真」
「ん」
「透」
「なに?」
「あたし、ふたりが好きなの。どーしようもないくらい、ふたりにハマってる」