第17章 エンディングのその後は
「ライちゃんはどこ行きたい?」
結局外に食べに行く、なんて言ってもこの人たちが行くところはファミレスとかそんな類いのものなんかじゃ、なくて。
ふたりに出会ってすらいなかったらあたしは一生入れなかっただろうところ。
だから。
「いいよ、行きたいところで」
「………じゃぁ」
お言葉に甘えて向かった先は、ファミレス、ではなくて。
もといた近所の定食屋。
あんまり頻繁にこれるほどお金に余裕があったわけではないけど。
ここは家族みんな、で来ていたところ。
お金持ちの御曹司な上にこの上なく美人なふたりはさすがにかなり浮きまくってたけど。
それでも小さな定食屋さんの扉を、躊躇なく開けて入ってくれた。
「うま、何これ」
「うんほんと、美味いよこれ」
ふたりが頼んだのは天麩羅定食。
安い定食屋の中ではかなりの贅沢な値段。
それでも定食屋だけあってボリュームもあるわけだけど。
それをペロリと平らげちゃうところはやっぱり、年頃の男の人なんだな、とか思う。
「………」
すごいな。
こんなに美味しそうに食べちゃうんだ。
あっとゆーまに、食べちゃうんだ。
「來?」
「ごめん、なんかちょっと、面白くて…」
普段から高級料理食べて。
こんな小さな定食屋に来ることもきっとないような人たち。
高い服を身に纏って、高級車乗り回して。
お金の心配なんか、しないだろう人たち。
だけど今こーしてディナーを囲んでるのは、1食千円もしない安価なもの。
「ライちゃん」
「━━━っ」
透の右手がす、と伸びてきて。
指先が涙を拭った。
「笑いなから泣くなよ、紛らわしいんだよ」
「誤魔化さないでいいよ?泣きたいなら、無理して笑わないで」
「してない……っ、無理してなんて、笑ってない」
わかってる。
わかってるんだ。
こだわってたのは、あたしの方。
「ならなんで泣いてんの?」
わかった、から。
気付いちゃった。
「あたし、ふたりが好きなの」
「?」
「何言ってんだ?お前」