第2章 新生活、開始!
左頬を押さえながら、失礼します、と頭を下げて。
その場から退散。
校門前での修羅場っぷりに、下校中の生徒たちの視線が釘付けだ。
ついでに。
叩かれたついでに滑り落ちた眼鏡を拾い上げ、また、かけ直す。
ああでも、もう学校終わったし。
はずしてもいっかなぁ。
眼鏡、頭痛くなるし。
「え、………わわ、わぁっ!?」
とぼとぼ歩くことたぶん、数十歩。
突然左腕を掴まれ、路地裏へと引っ張られた。
「しー」
「な、あんた………っ」
にこりと笑いながら人差し指を口元へと持っていくのは。
紛れもなく今、修羅場った原因の片割れだ。
どっちだろ。
同じ顔同じ声。
見分けつくわけないじゃん。
「お前さ、ガッコでもこんなんつけてんの」
「!!」
「ん?」
「………とーま」
「正解。よくわかったな」
「とーまのが乱暴だもん」
「あ?」
あ。
あたしの眼鏡。
今ぐしゃ、ってした。
「………別なの買ってやっから」
「んー、でもも、いらないかなぁ。頭痛くなるし」
「なんでかけてんの、これ度入ってねーじゃん」
「うん。余計な問題は回避したいんだよね。」
「は?」
「たぶん、理由はあんたたちと似たようなもんだよ。まわりはいつも誰かになんくせつけたがる。お金貰うにはさ、この容貌は邪魔なだけだったから」
「……ふぅん」
「でもも、別に必死にお金稼がなくていーし。あ、で?なんでとーまここにいんの?」
「お前さ、勝手にご主人様呼び捨てなんてしていーの」
「………何ご主人様って」
「お前、俺たちに飼われたんだろ?ペットじゃん」
「……なんかすごく嫌、それ」
「事実だろ」
事実。
事実?
いやなんか、違う。
「さっさと乗れよ、車」
「なんでっ?」
「わざわざ迎えに来てやってんだから、グダグダ言ってねーで乗れ」
「え……っ、ちょ、ええ!?」