第15章 ゲームオーバー
そうだよ。
あたし、妊娠してないもん。
同意もしてない。
「なんで?」
おかしいよ、そんなの。
「………お父さん、かな」
「ぇ」
「ライちゃんのお父さん、がサインしたんだよ」
お父さん?
「そんな決定権あの人にない!ずっと昔に離婚してるもん!」
「してないんだよ」
「ぇ」
「離婚、してない」
「………ぇ」
離婚、してない?
「ずっと、お前の父親はあいつなんだよ」
違う。
違う違う違うっ。
だって。
だってあたし、そしたら何のために……っ
「そんなはずない。お母さん、お父さんのこと憎んでた。恨んでた。離婚してないなんて嘘だ」
「嘘じゃねぇよ。お前が一番知ってるよな?」
「…………っ」
ま、って。
あれ?
親族、って、言った?
「お母さん、親族なの?初めから?」
待って。
良くわかんない。
移植?
斗真に?
「だからあたし、お払い箱になったの?」
お母さんとふたりが、親族なら。
あたしも。
あたし、も、ふたりと?
「親族は、父親の方」
「ぇ」
「俺たちと異母兄弟だって。びっくりだよ、まじで」
「どんだけいろんなとこで孕ましてんだ、って話」
「お、父さん?」
だって。
移植は?
お母さんから、移植したのは?
「型が合致したのは偶然。ライちゃんのお母さんをこの病院で見つけて、調べたらまさか旦那が兄弟だったとか、笑ったよほんと」
「おかげで計画変更」
斗真が座るソファーへと後ろから回り込んで。
背もたれに座り、自嘲気味に透が笑った。
「…………っ」