第14章 責任は、誰がとる?
「ぇ」
振り向き様に腕を引かれて。
気付けば背中は硬い床の上。
「透?」
視線の先には、天井と、透。
「さっき斗真にもヤられたばっかなのに、足りなかった?」
「…………ぇ」
「犯してあげるよ、ライ」
ゾクリ。
背中に流れた冷たい汗。
一瞬だけ感じた恐怖も否定しない。
だけど。
「いいよ」
「は?」
「好きなだけ、犯せばいいじゃん。」
「何言ってんの?おかしくなった?」
「なったのかも」
「お前、バカ?」
「………斗真みたい」
小さく笑えば。
ハッとしたように顔を反らすのは、間違いないなく透。
無意識、なんだ。
「斗真みたい、透」
「……まぁ、双子、だし」
「だね」
ねぇ気付いてる?
「じゃぁ、頭の下にある右手も、無意識なんだ?」
「ぇ」
硬い冷たい床に押し倒す時に、斗真はいつもこうやって抱えるように衝撃からあたしを守ってくれる。
頭を打ち付けないように。
あたしが、痛くないように。
「………」
「怖くないよ、透。透も斗真も、怖くない。だから好きにすれば」
傷つけない。
ふたりにあたしを傷付けるなんて、出来ないんだよ。
「そんなヤワじゃない、あたし」
「そう?そうまっすぐ来られるとさ、傷つけたくなるな」
「ぇ」
「やわじゃないんだよね?怖くないんだよね?好きにして、いいんだよね?」
「…-…いいよ」
「なら手始めに」
ゆっくりと、綺麗に整った見慣れた顔が近付いて。
吐息も感じるくらいに近くに透を感じれば。
「傷付けてあげる」
「ぇ」
ぐい、と、顔を透の右手が固定して。
動けない。
「ライちゃんのお母さんの肝臓、貰ったのは斗真だよ」
そのまま、深く深く、透の唇が重なった。