第13章 アイスキャンディ
だけど。
なんで?
なんで斗真、離してくれないの?
舌を絡めるでもなく。
ただ唇を塞がれてるだけで。
だけど全然1ミリだって顔を動かすことを許してくれない。
「………っ」
絶対、飲み込まないっ。
だけど。
「………っ!?」
不意に感じたのは、スカートの中へと入り込む指先の感触。
と、同時に。
ヴィィィン ヴィン ヴィン
感じたことのある、機械音。
そして。
「……っや、っぁああっ、はんっ」
下着越しに感じる、ゾクゾクするような快感。
「やめっ、ぃああっ、斗真、それいやぁっ」
悲鳴と共に。
冷たいお水ごと全て、喉元は簡単に通りすぎていったんだ。
ゴクンと喉を鳴らした瞬間。
カチと音を立てて機械音は制止、した。
「男ふたり相手に勝てると思ってるところがかわいいよね、ほんと」
「はぁ……っ、はぁ、はっ」
駄目だ。
呼吸が、整わない。
「何、今……っ」
「さぁ?なんだろな?」
「……っ」
「おとなしくしてて、って、言ったのに」
「こんな犯罪まがいのことされて、できるわけないじゃないっっバカじゃないのっ?」
「この状況で罵倒出来るお前に尊敬するけどな」
「ほんと、この状況に慣れて来ちゃった?」
「バカじゃないのっ?離してっ」
「だから、自分の今の状況理解してみ?」
パチン、て。
制服のリボンが、外されて。
ついでにシャツのボタンが外されていく。
「透そのまま、逃がすなよ」
「はいはい」
「や……っ」
やだ。
こんなのやだ……っ
「ん……」
なのに。
こんな強引なの、絶対やなのに。
「ほら、効いてきた」
人差し指でつー、と、肌を撫でられただけでこんなにも肌が粟立つ。
ゾクゾクと駆け上がってくる。
「ライちゃんがちゃんとおとなしくしててくれれば、こんなことしないんだよ?」
「………っ」
「はじめに言ったはずだけど。『怯えて泣いて』、は駄目だって」
ギリッとされた両腕に走った僅かな痛み。
「悪いけど、お前を父親と会わせるわけにはいかねんだよ」
「ごめんね?」
「………っあ___ッッ!」