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愛玩彼女

第13章 アイスキャンディ




「ぃ……った!!」


ほんとならこの時間。
学校で真面目に授業を受けてるはず。
はず、なのに。


なんであたし、いきなりベッドに投げ出されなきゃいけないの?




「……学校」
「そんなに真面目だとは思わなかったな」
「そっちこそ、大学は?」
「おかげで予定台無し」
「おかまいまく、どうぞ予定を遂行してくれていいし」
「父親に会うのか?」
「なら、こっから出すわけにいかないんだよねライちゃん」

「………っ、なんでっ?」


「話す必要あったっけ」



「………っ」





バカだあたし。
何勘違いしてたんだろ。
勝手に。
愛されてる気になって、その気になって。
あたしの、バカ。
この人たちは危険だ、って、わかってたはずなのに。
初めて出会ったあの頃と、なんにも変わってなんかなかったのに。


「ライちゃん?」
「出てく」
「は?」
「好きな時に出てっていーんでしょ。なら今出てく」




ベッドから這い出して、目の前の斗真を押し退けようと手を伸ばせば。


「透」
「はいはい。ライちゃん、ごめんねー?」
「ぇ、……っや、きゃぁっ!!」



再び頭はベッドの枕へと、沈みこんだのだ。


枕元に腰をかける透に、両手をご丁寧に頭上に一纏めにされながら。


「なんでっ?」
「ライちゃん暴れるんだもん。おとなしくしてて?」



「ぃやっ、何……っ、んぐ」



自由な足をバタつかせてついでにクラクラするくらいに頭を振るけど。
あっとゆーまに斗真につかまって、さらにはやっぱり流れ込んできたのは冷たい水。

絶対飲み込まないんだからっ。


両手の自由は奪われた。
斗真が馬乗りになってるせいで体も動きが制限されてる。
右手で顔を固定されたまま口移しで流し込まされた薬。
どれをとっても勝ち目なんかないけど。
唇を離すまで飲み込まなければいいだけだ。
絶対こんなの、飲み込まない。
それだけ。
またわけわかんない薬なんか使われたら、ふたりの思うとーりになっちゃうもん。
いつもいつも、そんなの嫌っっ。


「頑張るね、ライちゃん」










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