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愛玩彼女

第13章 アイスキャンディ


触れられた瞬間走った恐怖とも取れる冷気に、息を飲んだ瞬間。




今の今まで一緒にいて、確かさっき車で目の前から走り去ってったはずの双子。
ぐいって引っ張られた感触を肌に感じた瞬間、ふたりの後ろ姿を視界いっぱいに捉えた。


「ぇ」



「來には会わない約束だろ」
「たまたま通りかかったら娘が歩いてきたんだよ」
「こんな通学路どーやったらたまたま通りかかる用があるんでしょうね」



何。
なんで。
ふたりとも、知り合い、なの?



「その様子なら、來はなんも知らされてないみたいだなぁ」

「ライちゃん、帰ろう」
「待って透」
「いいから、帰るぞ」
「は?ちょっと!離してよ!何?」
「來っ」

両脇から抱えてこの場から離れようとするふたりから身を捩って抵抗すれば。

頭上からは斗真の怒鳴り声。


思わず条件反射で肩と首をすくめた。


「おい、斗真」
「……わり」


気まずそうに反らした視線と、緩んだ手元。
その隙をついて、わざとらしく声を張り上げてあの人はあたしたちへと声を、かけた。


「奪った『肝臓』はどうだ?」


っ、て。








ーーーーーーー!?






「ぇ」




今、なんて?





「帰るぞ」
「待って!!」
「ライちゃん」
「やだっ離してっ!!こんなのずるい!!離してってば!」


暴れるあたしを肩へと抱えて、荷物でも運ぶように透は歩き出した。



「透っっ!!」



暴れてもつねっても叩いても、透はその腕を離すことなんてなくて。
遠ざかっていく彼、お父さん、を。
透の肩の上からただただ眺めるしか出来なかった。





奪った、肝臓。


肝臓____?




ダレ、ノ?
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