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愛玩彼女

第12章 『すき』『きらい』


「は……っ」

「斗真?」



真剣な眼差しが、糸が切れたように破顔、して。
途端に斗真は、笑い出した。


「ぇ、とーま??」

「お前、透にもそれ言った?」
「言ってない、と、思うけど」
「やっぱすげーな、あいつ」
「意味が全然わかんないんだけど、透がなんなの?」
「超能力者」

「はぁ?」

「な?そうなんだよ。それ、普通の反応だよなー」
「???ますます意味不明ですけど」
「そうなんだよ。わけわっかんねぇよなー」


あたしには斗真の頭の中身のがわけわっかんないけど。



「やっぱお前、いいわ」
「?」


笑い上戸、よろしく目に涙までためちゃってる斗真が、再度あたしへと向き直った。


「朝、薬飲んだ?」
「?う、ん。」
「いつもとおんなじやつ?」
「と、思うけど」
「試してみる?」
「はぁ?」


「あいつさ、ほんと、よくできた弟なんだよ」
「だから、脈絡全然わかんないんだってば」
「飲ませたの、透だろ?」
「うん」
「また違う薬かも、とか疑わねーの?お前」
「寝起きに口の中に入ってくんだもん。そこまで頭回んないし」
「だから、試してみる?」
「………なに、を…っ?」


右手が、顎へと添えられると同時に親指が唇をなぞって。
変な空気が、口から漏れる。


「エロい顔。出来上がっちゃってんじゃん」
「………っ」

顔ごと反らそうと、力を入れるけど。
斗真がそれを許すはずない。


顎へと手をかけたままに、もう片方の指先が、唇をこじ開けていく。
出来たその隙間から、斗真は容赦なく舌を侵入させてくるのだ。


「………っ」

口の中から引き抜かれた左手は、今度は首の後ろへとまわされ髪の毛ごと掻き抱く。


「ふ………、ん、んぅ」


逃げ惑う舌を最後にじゅう、と、吸い上げてから。
やっと斗真は唇を離した。



「透の退院祝いってとこかな、これ」
「な、に……っ」
「時間までは、さすがに予想できねーか」
「?」
「ま、いーや」

わけわかんない。
なんでそんな楽しそうなの、この人。



「來、理性保てるなら、声は出すなよ」


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