第11章 番外編『仲良し』
「……なかなか旨くない?」
「な?」
「ってか作ったのほとんど俺だし」
「俺も作ったじゃん」
「あー、野菜洗ったりとか?」
「立派に手伝いだって」
「子供か」
「怒んなって、飲む?」
「飲む」
斗真の手にしてるのは、たぶん缶ビール。
何かを一生懸命混ぜませしてる透に、缶ビールを飲ませてあげてる斗真。
混ぜながらでもさ、片手あいてるよね、透さん。
なんでわざわざ飲ませてもらっちゃうわけ。
ってか普通に飲ませてる斗真も斗真だけどさ。
「あ、ライちゃん、起きたー?」
「何難しい顔してんの」
「……ふたりのイチャイチャに、声かけるタイミングを逃しました」
「面白いことゆーね、ライちゃん」
「何、お前も混ざる?イチャイチャ」
いらやしげににかっと笑いながら、透の肩を引き寄せる斗真に、透もまんざらでもなさげにスルー。
前から思ってたけど、仲良すぎない?
この双子。
「斗真、ビール」
「ん」
そのまま顔だけ向けて斗真からビールを飲ませてもらう透にも、自然と当たり前のようにやってのける斗真も。
やっぱり理解出来ない、その行動。
「何赤くなってんのお前、やらしー」
「……っ、別に!」
「ってかそれ、斗真の?」
「あ、ごめん、近くにあったの借りた」
「ずるーいっ、俺のもやって、彼シャツ」
「はぁ?」
「いいね、それ、うん、めっちゃエロい」
「お前のは俺が着てやるよ、彼シャツ」
「斗真着ても萌えない。ってか俺の勝手に着てんじゃん、それ。」
「ああ、これ透の?」
「ったく、ちゃんと自分の着ろよ」
「わり、あったからさー」
また、イチャイチャ始まったの?
これ。
「おんなじのばっか着てっからだよ」
「斗真に似合うってことは俺にも似合うってことじゃん?」
「……一理、あるな」
「でしょ」
「………勝手にイチャイチャしてて。邪魔者は『となり』、行ってきまーす」