第11章 番外編『仲良し』
「ライちゃん、俺『たち』の大事な人なんだよねー。苛めないであげてね?」
「な……っ、とーるっ!?」
「お前、それゆーのにわざわざ髪と眼鏡取る必要あったか?」
「ライちゃんの美しさ、封印しちゃうのもったいないじゃん」
「來はあのままで良かったんだよ、バカかお前」
「こんな大勢の前で堂々と宣言してさ、俺たちに歯向かおうとするバカもいないって」
「そーゆー問題じゃねーよ」
「………」
後ろからぎゅうぎゅうと抱きしめられて。
頭上で繰り広げられるバトル観賞。
遠巻きに見守る女の子たちも、半ばポカンと口が開きっぱなしだ。
そのまま視線だけでまきちゃんを追えば。
楽しそうに微笑みを返しながら、その場を後にする背中が見えた。
「お前も、またよそ見してんじゃねぇ、バカ」
「った」
今度はおでこにデコピン。
これってさっきからDVってやつじゃないの?
「寒い、帰るぞ」
「はいはい、運転しますよ、お兄様」
「………」
なんだかんだ言って。
仲良しなんだよなぁ。
そして、ある日の夕食。
「……」
何故か学校から帰るとすぐに、リビングに入る余裕もなく寝室へと連れ込まれ。
散々ふたりに愛され可愛がられまくったある冬の夕方。
まだだるい体を起こすと、そこには誰もいなくて。
真冬でも全然暖かいこの部屋の中、さすがにそのまま裸とゆーわけにもいかず。
どちらのシャツかわからないそれを、身に付けリビングへと顔を出した。
「斗真っ、それ味見の量じゃないってば」
「味見に量なんかあるか、なくなりゃまた作ればいーだろ」
「すでにどーやって作ったのか覚えてないし」
「なんとかなるだろ」
「だから、食べ過ぎ」
「お前も食えば、ほら」
人匙、人差し指へと掬ったそれを透へと差し出せば、躊躇なくそれをパクりと口の中へと運ぶ透。