• テキストサイズ

愛玩彼女

第11章 番外編『仲良し』


ある日の放課後。






「…………」



真っ黒な高級車に背中を凭れさせ、道行く人々の注目を一身に浴びてる男たちが、ふたり。


楽しそうにふたりでじゃれあいながら、ひとりがライターでタバコに火を付ければ、もうひとりは片割れのタバコから火をもらう。

「はぁ?使えよライター」
「手寒いもん、いーじゃん、斗真の火付いてんだし」
「つけたんだよ、俺だってさっみーつーの」
「斗真からもらった方が、旨いしさー」
「………」

そこは、赤くなって言葉詰まらせる場面では決してないと思うんです、斗真さん。

「ライちゃん、遅いね」
「いつまで待たせんだよあのバカ」



いるけどね、ここに。
だいたい寒いなら外いないで車で待てば良くない?
こんなとこで悪目立ちしなくて良くない?


「だってさ、來、ほら」

トン、て。
背中を押されれば、人だかりの中体はその一歩前へと進み出た。

「まきちゃんっ」

後ろを振り向きながらまきちゃんを睨み飛ばすけど。
その前に彼の視線はあたしを通り越している。


「來」

「あ」


まきちゃんの視線を追うように顔ごと前を向けば。
斗真の怒った顔。



「おっまえおせーんだよ。だいたいまだあの男といんの?懲りねーな」
「痛い痛いっ、斗真それほんと痛いっ」


グーにした両手をこめかみに当てて、グリグリと捻られれば、冗談抜きで脳が悲鳴を上げてる。


「そりゃ良かった、痛くしてんだよ」
「とーるっ、笑ってないで助けてよー」
「えー?お兄様にはさからえなーい」


こんな時ばっかりずるい。
いつも好き勝手してるくせにーっ。





「それよりさー」


不意に後ろから伸びて来た掌が、縛っていた髪の毛をほどく。
途端に現れたのは、まっすぐに伸びた長いストレート。

「お前、何してんの透」

斗真の制止も聞かず、ついでに斗真にもらった眼鏡ごと外されれば。
途端に上がるのは、小さな悲鳴。
/ 280ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp