第1章 契約成立!?
「………ったたた」
結局、ご丁寧に彼らに自宅アパートまで送ってもらい。
部屋まで送ると頑なにいいはるふたりをなんとか説得し、現在にいたる。
とはいっても。
階段を上る度に腰と下半身に走る痛み。
なんなの?
初めてのあとって普通こんなに満身創痍になっちゃうわけ?
あまーく夜明けのコーヒーとかとか、みんな飲んでるんじゃないの?
まぁ結果的に大金を一晩で稼ぐことが出来たわけだし。
これでとりあえず今月の家賃は心配ない。
それだけでもこの満身創痍は無駄じゃないはずだ。
うん。
きっとそう。
なんて、いつものプラス思考へと強引にでも頭の中を誘導しながら。
寝ているであろう弟たちを起こさないように静かに玄関を開けた。
「姉ちゃんっ」
途端。
「え!?雷斗?起きてたの?」
寝てると思った弟の出迎えに、思わず腰を擦る手が止まる。
「姉ちゃん、今日児童相談所ってところから女の人きた」
「え」
「明日また来るって」
児童、相談所。
最近近所の人たちがあたしたちを見て、こそこそ、ヒソヒソ話してるのは気付いてた。
「お母さんは?」
ゴミ捨てに行くと聞かれていた挨拶代わりの言葉もなくなってたのも。
大家さんの、訝しげな視線にも。
「姉ちゃん……」
駄目だ。
あたしが不安になれば、小さな弟たちも不安になる。
不安にさせちゃ、だめだ。
あたしがしっかりするんだ。
「大丈夫だよ。ありがとう雷斗」
「でも……」
「大丈夫、お姉ちゃんに任せて。大丈夫だから。」
「………」
「おやすみ、雷斗」
守らなきゃ。
あたしが、みんなを守るんだ。