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愛玩彼女

第10章 すれ違い





「ん………」





体に感じる寒さにぶる、と身震いを、して。
瞼を開ければ、煌々と光る痛いくらいの眩しさに一瞬目を伏せた。


「起きた?おはよう」
「……と、る?」


ぎし、と。
皮ばりの高級そうなソファーを軋ませて、透が頭を撫でる。

「もう、夜だけどね」
「ぇ」
「斗真も目、覚めたよ」

「……斗真!!」


ぼんやりとした思考回路を、瞬時に組み立てて、ソファーから飛び起きれば。


「……お前、うるさい」


小さな吐息交じりに、ベッドの向こうから声が響いた。


「……いたい?」
「お前ケンカ売ってんの、腹切ったんだよ、くすぐったいかお前」
「………ごめん」


なんだ、元気じゃん。


「透から聞いた?父親」

コクン、て、小さく頷けば。

「最低なのはお前の親父ばっかじゃねーよ」


また小さく、頷く。



「………今日、帰れよお前ら」
「なんで?」
「ヤれねーのにそんな顔されてんの、痛いよりつれぇんだけど」
「………っえぇ?」

「ライちゃん顔出やすいよねー」

「お前ん時もおんなじことしてやるよ、透」

「はは…っ、これけっこう癖になるよねー」


「…っ!!とーるっ!?」



ってかなんで?
なんでバレるの??



「……あたしって、なんかおかしいのかな」


「「………」」



小さく呟けば。
ピタリとふたりは視線をあたしへとロックオン。
そしてすぐに。
同じタイミングでふたりは視線を外したのだ。



「なにっ?」


「無自覚?」
「大丈夫、それも十分、かわいいよ?」



なんでっ?
病人よろしく重病人なはずなのに。
病室のベッドに横たわってたくさんのチューブを体にくっつけている以外は。


全然いつもと変わんないじゃんっっ。



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