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愛玩彼女

第10章 すれ違い


「入院っ!?」

「そう、だから迎え、俺で悪いけど」



特に約束してるわけじゃないんだけど。
大抵、いやいつも、斗真は同じ時刻にあたしを迎えに来る。
高校からは、少しだけ離れた路地裏に車を止めて。
だけど今日は、放課後やたらと校門前が騒がしいな、とは思いつつも、たぶんあたしには無関係を貫きとーしつつ、人混みを避けつつ校門を、くぐれば。


「ライちゃん」


怖いもの知らずに透が親しそうにそう、話しかけたのだ。
瞬間的にあたしの学園生活を脅かす存在を、瞬時に排除するため頭はものすごいスピードで回転する。


「『お兄ちゃん』」

穏便に学園生活を送るために出した答えとしてはあたし絶対、花丸満点じゃない?

「迎えに来てくれたの?ありがとう」
「うん」


お兄ちゃん、て呼んでも顔色ひとつ変えずに話合わせてくれるあたり、透ってほんと使えるやつ。
斗真なら絶対こうはいかない。



「えぇ?來こんなカッコいいお兄ちゃんいるなら、もっと早くいいなよ」
「紹介してよ」



「ごめんねー、母親事故起こしちゃって病院なんだよ。それで迎えにきたの、急いでるから、退いてくれる?」


事が事だけに、無言で顔色を変えた彼女たち。
笑顔を崩すこともせずに、透はあたしの手を引いてすぐ近くに止めてある車へとあたしを促した。


「よくゆー」
「あながち嘘じゃないじゃん?妹ちゃん」
「あんな目立つとこいるのが悪いのよ」
「次からは気を付けるよ」

「次?」

「あーうん、斗真当分入院することになったから」





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