第7章 崩れた関係性
「うん?」
「……ふ、っあんっ」
「ライちゃん、今隣にみんないるの忘れてない?」
「………っ」
ふふ、って笑う透の顔が、意地悪に、揺れた。
「その顔、ほんと苛めたくなる」
ゾクリと、背中が凍るくらいの笑顔をあたしへと向けて。
透はリュックから見覚えのある小さな楕円形のものを、取り出した。
「………っ」
「そんな期待した顔、しないでよ」
ペロリと『それ』を舐めあげると。
「ぃや……っ、それやだ」
一歩だけ、後退したあたしを囲うようにドアへと手をつけば。
両足の間へと自分の右膝を忍び込ませた。
「もっと意地悪したくなるじゃん」
「ぃや……っ!!」
強引に開かされた足の間、簡単に透の指先は下着の中へと入り込み、さんざん『彼等』によって慣らされた体は、たったこれだけのことでも快感を貪ろうと蜜を溢すのだ。
「すごい、簡単に入ったね?」
「透……っ、やだ、これほんとに……っ」
「ライ、頭悪すぎでしょ。何度教えればいい?それともわざと?」
『怯えて泣いて』は、男にとってはご褒美だよ?
「ち、が……っ違う、ほんとにこれ、や…っ、!?」
中で突然動き出した覚えのあるこの動き。
だけどこの前と違って入り口の極浅いところを刺激するそれは、下着に擦れてさらに違うところまでも刺激する。
「あ、あ、やぁ、ああっっあ、あ、ああッッ」
やだ。
やだこれ。
透、足、わざと押し付けてくるし。
その度に、機械の音に混じって聞こえてくるのは粘着質な水の音。
「も、おねが……っ」
痺れてくる。
両足が床についている感覚が、なくなる。
「ほら、ちゃんと立ってないと。ああそれともわざと、押し付けてる?」
「………っ」
必死で首を左右に振ったところで。
透の両腕に顔を埋めてしがみついていないとすでに立っていられるだけの力すら残ってない。
そんなあたしが何言ったって、説得力なんてあるはずなかったんだ。