第7章 崩れた関係性
「やぁぁッッああっ」
ずるりと、不意に抜け落ちたオモチャ。
だけど。
それは床に落ちることなく下着の中へととどまった。
そしてそれは。
予期していたかのように、透の右膝によって今一番敏感なその突起へと、宛がわれたのだ。
「ぃや、いや、いやぁっ」
両手を突っ張って、透を押し退けようとしても力でなんて敵うはずもなく。
ただただ、その快感に身を委ねるしかない。
「ライ」
「んんぅ、ん、んん」
透の口付けは。
体だけじゃなくて口の中までも犯されてるかのような。
本気で、相手を蕩けさせる、キス。
まるでそう、セックスでもしてるような気分に、なる。
「っ!?」
ゴクン
て。
喉を何かが通りすぎた瞬間、唇は糸を引きながら離されて。
「……っ、なに?」
「大丈夫、変なもんじゃないから」
にこりと怖いくらいに冷酷な瞳をあたしへと向ける目の前のこの人を、その言葉を信じていいのかすら疑問だけど。
だけどもうそんなこと、考える余裕すらもこの人は与えてはくれない。
「ねぇ声、我慢できるよね」
「………っ!!」
言葉の意味を理解するよりも先に、ぐるんと反転した視界。
目の前にあったはずの透の表情が、今は見慣れたドアへと変わる。
思考が追い付かないまま。
くい、と、下着がずらされた感覚のあと。
感じとったのはいいようのない圧迫感。
下腹部から押し潰されるような、苦しさ。
「そのまましがみついてて」
「や…っ、ま…っ、は、ぁああっ」
後ろから頭を押さえられて、腰を引き寄せられれば。
ドアに手をついたままお尻を付き出す格好になるわけで。
自ら透を咥え込んでいるような気分になる。
「や、やだ透……っこんなの、恥ずかし…、から、ぁ…っ」
だけど。
いくら懇願したところで透のスピードが緩くなるわけでもなければ。
もちろん、下着の中で未だ動きを主張するあの玩具も、動きを制限してなどくれない。
それどころか、透に後ろから揺さぶられる度に下着の中で動き回るそれは、確実にあたしの弱いところを刺激していくのだ。
「や、やだぁ……ッッ!!」