第7章 崩れた関係性
お腹抱えて大爆笑する斗真を見ていたくなくて。
逃げるように出たリビング。
ついでに玄関へと向かおうと、すれば。
ドン、て。
ぶつかるはずのない彼に、ぶつかった。
「あれ、透?なんで?」
「チョコレートフォンデュやるって言ってたし、こっちかなって。やっぱり合ってた?」
「うん、今、リビングで」
「みたいだね、ライちゃんから甘い匂いする」
両脇に手を差し入れて、起こされたついでに透は首筋へと、顔を寄せる。
サラサラの髪が、顔に触れてくすぐったい。
「斗真も?」
「……リビング」
「ライちゃんは?どこ行くの?」
「……夕食の準備に、買い物へ」
いや、ほんとはもう買ってあるんだけど。
「ライちゃんウチの家政婦じゃないんだから、わざわざそんなことしなくていんだってば」
「でも、お金、貰ってるし」
「それは家政婦さんに渡すお金じゃないでしょ?」
「………」
「んー、じゃぁさ」
「?」
「お金渡してる分、返して貰おうかなー」
「ぇ……、わ、わわっ」
バタン、て。
開かれたドアへと押し込まれる形で、ドアに背中がくっついた。
「ぇ、あ、ここ」
脱衣所。
見覚えのあるタオルが、綺麗に収納されている。
「真っ赤な顔して出てきたけど、斗真となんかあったの?」
「ぇ、わ…っ」
至近距離で目を力強く射抜かれて。
無意識に視線を泳がせたあたしに微笑んで。
透は再度、首筋へと顔を寄せた。
チュ、て。
啄むように首筋へと何度もキスをされて。
知らずに漏れる、小さな声。
「耳も、好きだよね」
低く、戒めるように囁くと。
透は舌先を容赦なく耳の中へと忍び込ませた。
「ん……っ」
ダイレクトに響く、水音。
「ま、待って透…っ」
「ん?」
「ここで、するの?」
「だってライちゃんが言ったんだよ?」
「……あれは」
こーゆー、意味じゃなくて。