第8章 ゆびきりげんまん。
そんな事を考えながら、
タクシーに揺られるまま
病院に到着した。
看護婦に案内されるまま、
病室とは違う階へと案内された。
その部屋の前では
凛のお母さんが泣いていて…
お父さんは呆然と立ち尽くしていた。
「…あの…」
俺が呼びかけると、
少しやつれたような顔になった凛の親父が小さく笑った。
「やぁ、青峰くん、桃井さん…来てくれたのか…。」
「あの…凛…は?」
その問いに、親父さんはうつむいた。
「まだ、信じられないんだ…さっきまで元気に動き回っていたんだ…夢なんじゃないかって…そう思ってるんだ…。」
親父さんはそう呟いた。
わけがわからなかった。
この人は何を言っているのか…?
どっきりにしては悪質すぎる…。
どうせこのドアを開ければ…
あいつがニヤニヤしながら『ひっかかったぁ!』とか言うんだろ?
そんな事を考えながらドアの方へ歩みを進めた。
後ろから親父さんの泣き崩れる声が聞こえた。
さつきは凛のお母さんに寄り添っていた。
俺はドアに手を掛けた。
ドアをあけると…
消毒の匂いと、線香のような匂いが同時に押し寄せた。
部屋の真ん中に緑の布が掛けられたベットが目に入る。