第8章 ゆびきりげんまん。
中学を卒業し、
俺たちは同じ高校へと進学した。
あいつは持ち前の明るさで
すぐにクラスの人気者になった。
クラスの中心で笑うあいつの笑顔に
胸がグラグラして…
教室には居たくなかった。
そんなこんなで俺は、
授業も部活もさぼりっぱなしだった。
そんな俺をいつだって呼びに来るのは
あいつで…
あの日だって、
あいつは俺を呼びに来た。
真っ青な空。
俺はただただぼーっと眺めていた。
ふと、視界に見慣れた顔が飛び込む。
「あー。凛だ。」
俺がそう呟くと、怒った様子で
彼女は俺の横に座り込んだ。
「もうっ!また部活さぼってるんだって?大会近いんでしょ?」
「あー。うっせぇよ。練習しなくても勝てんだから…。」
俺はその毎度のお説教を適当に聞き流した。
「さつきちゃんも困ってるんだから…部活出なきゃ。私も大ちゃんがバスケしてる所また見たいよ…。」
ひとしきり説教を終えると、
彼女は溜息をつきながらそう言った。
「っせぇーな。お前に関係ねぇだろ。何も知らない癖に…」
俺がそう言うと、
彼女は『もう本当に知らないっ!』と言って
俺の元から去って行った。
冷たい風が吹き抜けた。
あの時、
君の掴まえていれば…。
追いかけていれば…
"未来"は何か変わった…?