第7章 ワンコ系男子。
教室につくと、
すぐに芽衣子が私に駆け寄り、
黄瀬くんの朝練を見に行こうと誘う。
「ご、ごめん、芽衣子。私行きたくない。」
私がそう断ると、
芽衣子は不満気にしていたが、
諦めて一人で練習を見に行った。
HRがはじまる前にたくさんの女子と黄瀬くんが
教室に戻ってきた。
その中に芽衣子も居た。
黄瀬くんはいつもの笑顔を振りまいていた。
「あ、如月さん!おっはよっス!」
黄瀬くんは笑顔で私の肩を叩いた。
「…?お、おはよ。」
昨日との態度の違いに驚いたが、
適当に流した。
が、
「如月さん、前髪切ったっスか?似合うっス!」
「如月さんって足キレイっスね!」
「如月さん!一緒にお弁当食べないっスか?」
「如月さん!この本運ぶの手伝ってくださいっス♪」
何故か黄瀬くんは必要以上に絡んでくる。
その様子を不審そうに見つめる女子たち。
そして、芽衣子。
「黄瀬く~ん!どうして如月さんばっかり話しかけるの?」
休み時間に女子たちが黄瀬くんに駆け寄る。
「どうしてって?…それは、如月さんと俺がこういう関係だからっス!」
そう言って黄瀬くんは私の肩を抱いた。
「え!?ちがっ!」
私が手を退けると、黄瀬くんはニヤリと笑っていた。
私はすぐに芽衣子の方を見た。
「信じらんない。興味ないとか言ってた癖に…最低っ!!!」
芽衣子はどこかへ走って行ってしまった。
「芽衣子!」
私が追いかけようとすると、黄瀬くんが私の腕を掴んだ。
『ね?言った通りだったでしょ?』
背筋がぞっとした。