第7章 ワンコ系男子。
私がポカーンとしていると、
黄瀬くんは冷たい目で私を見た。
「なんとなく変だと思ってたんだよね。あんたの事。俺の追っかけにしては、俺の事避けるし…サインもねだって来ない…。何のつもりスか?」
「わ、私はただ…芽衣子の付き添いしてただけで…」
「芽衣子…?あぁ、山田さんか。あの子性格悪そうだよねー。」
黄瀬くんは立ち上がり、
制服についた埃を払った。
「っ!!め、芽衣子は優しくて…いい子だもん!!」
「ふぅーん?じゃぁ、あんたはそのお友達ごっこのために俺の追っかけやってんスか?」
「友達ごっこなんかじゃ…」
私がそう言い掛けると、
黄瀬くんはかぶせるように大きな声で言った。
「そういうの一番ムカつくんスよね。人のプライベート邪魔しといて友情だの言っちゃうやつ?いい迷惑。大体女の友情とかバカみたいに脆いじゃん。」
黄瀬くんは私を睨みつけていた。
「脆くなんか…ない…。」
思わず怖くて怯んでしまう…。
「じゃぁ、わからせてあげるっスよ。いかに脆いか。じゃ、俺帰るっスわ~。ばいば~い。」
黄瀬くんはカバンを持つと教室から出て行った。
怖くて怖くて
涙が止まらなかった。
やっぱり
どんなに完璧でも
"男"だったんだ…。