第7章 ワンコ系男子。
別に私は恋愛対象が"女"と言うわけではない。
ただ、単純に"男"が怖いのだ。
私の父は私が小さい頃に出て行った。
それ以来、私の母はよくいろんな男を
家に連れ込むようになった。
最初はみんな優しかった
でも、私を殴る人や、
私にいたずらしようとする人がほとんどだった。
それを母に訴えると、
いつも母に怒られるのは私だった。
私から母を奪い取るのも"男"で、
私に危害を加えるのも"男"。
優しいふりして母を騙しているのも"男"だ。
まともな奴なんて…きっといない。
"男"は信用ならない。
心のどこかでそう思っていた。
そう、きっと黄瀬涼太も
犬の毛皮を被った狼なんだ。
そんな事を勝手に考えていた。
帰りのHR。
クラスにも慣れて来ただろうし、
席替えをしようと担任が提案した。
私は窓際のこの席を気に入っていたが、
止む終えず、くじをひいた。
席が発表され、
皆一斉に机と椅子を動かしはじめる。
私は一番後ろの真ん中の席だった。
…隣、女子だといいなぁ…。
そんな事を考えながら、
私は指定された場所に机を移動させた。
「あ、如月さん!よろしくっス!」
ふと隣を見ると、
笑顔で黄瀬涼太が私の席の横に机をつけた。
「…よろしく。」
よりによってこいつか…。
私は挨拶をすると、すぐに目をそらした。