第6章 青春ギター少年。
「わかった…出る。けど、条件がある…。」
笠松はポツリと小さくそう言った。
「本当!?何でも聞くよ!何でも聞くから、ほら、行こう!」
そう言って私は笠松の手を握ったまま走りだした。
「あ!?お、おい!?条件…聞かなくていいのかよ!?///」
笠松は何か言ったが、
もう、早くステージに向かいたかったから無視した。
少し振り返ると、さきほどの金髪の少年が、
『いってらっしゃーい』と手を振っていた。
それから、私と笠松と吉田と鷹丘は1度だけ
通しで練習をした。
笠松はびっくりするほどギターもボーカルも上手だった。
これなら…いける!
私たちはステージへと向かった。
眩暈がしそうなぐらい眩しいスポットライト。
凄まじい歓声。
耳が壊れそうなぐらい爆音でなる楽器。
全部が全部気持ちよくて、
嬉しくてたまらなかった。
笠松の歌声も
もの凄く心地がよくて、
ずっとずっと聞いていたかった。
最後の一曲、
『Hi STANDARD』の『My First Kiss』を演奏した。
会場は多いに盛り上がった。
私は笠松の方を見た。
笠松もこちらを見た。
目をそらさず、笑ってくれた。
ステージの興奮か、
何かわからないけど
私はその笑顔に
胸がドキドキして
身体が一気に熱くなった。
そうして、
西山不在だったのが残念だったが、
私たちの最後のステージは終わった。