第5章 私の彼は"変わりもの"?
「先輩は…何の動物が一番好きですか?」
「ワシか?…そうだなぁ犬とか好きじゃ。如月さんは?」
「私は、ゴリラが好きです。」
私がそういうと先輩は笑い出した。
「もうっ!笑わないでくださいっ!ゴリラは素敵なんですよ!」
私は思わず口を尖らせた。
「悪かった。意外だったものでな!ゴリラのどの辺が好きなんだ?」
先輩は相変わらず笑っていたが、
なんだか、やっとリラックスしてくれたような気がした。
「ゴリラってあんなに強そうなのに…意外に臆病者でとっても可愛いんですよ。知能だってあるんです。」
私は小さい頃に見た、
ゴリラのドキュメンタリー番組が未だに忘れられない。
凶暴なだけな動物と思われていた彼らは
実はとても頭が良く、繊細で、仲間思いで…
時には人間のような優しさを見せる。
見た目が少し怖い。
それだけで勘違いされがちだが
実はそんな悪い動物ではないのだ。
逆にもっと人気になるべき動物なのだ。
だから、
私はゴリラが好きになった。
私がその話をすると先輩は真面目に聞いてくれた。
それが嬉しかった。
そうして、
デートも終わりお別れの時間になった。
「如月さん。君は変わっておるのう。」
「へ?」
「ワシも女の子の事はよくわからんが、君は変わっている。」
そう言って先輩は私の頭を
結っているのも気にせずにワシワシと撫でた。
「変わり者とはよく言われます…。」
私は思わずうつむいた。
やっぱり彼も私を変だと思ったのだ。
「だが、どうやらワシも変わり者のようじゃ。」
そう言って先輩はゲラゲラと笑った。
「え?」
私は意味がわからず聞き返した。