第5章 私の彼は"変わりもの"?
~陽泉バスケ部side~
「おい、やっぱり来てるな。」
福井は氷室の肩をつついてそう言った。
「…あぁ、結局彼女が恋してる相手は福井さんでしたか?」
氷室はドリブルをしながら
福井の方を見た。
「あ?ちげぇよ。俺は劉紹介したし、劉だったんじゃね?」
「え?違うアルよ?けど、彼女可愛いアルね。」
劉はじっとギャラリーに居る凛を見つめた。
「え?お前も違うのかよ!じゃぁ、誰だ?」
福井はモヤモヤとしていた。
「コラッ!女の話で盛り上がるなっ!練習に集中するんじゃ!」
岡村は女の話しに夢中になっているメンバーに一喝した。
「あ~!」
紫原は突然声を上げた。
「うわぁ!?なんだよ!?」
福井は跳ね上がって驚いた。
「岡村ちんじゃない?あの子の好きな人。」
しばしの間、沈黙が流れる。
が、すぐに全員が爆笑しはじめた。
「いや、ないわ!それはないわ!こんなアゴリラ好きな奴いねぇだろ!」
福井は床を転げ回りながら笑った。
「そうアルね!あの子がこんなモミアゴリラ好きだったら、今日は大雨になるアルよ!」
劉も同じくらい笑っていた。
「うるさーい!練習に集中しろぉー!」
岡村は再び一喝を入れた。
そうして、彼らは練習に戻った。
しばらくすると、
あんなに晴れていたのに雨が降り始めた。
が、そんな事気にする人なんて
誰も居なかった。