第4章 コウカンニッキ。
「如月っ、悪かった。俺のせいで…」
花宮くんは見たことがないくらい悲しそうな顔をしていた。
「花宮くん…大丈夫だよ!先生、ちゃんとまだ先生続けられるから!」
私は泣きそうになるのを堪えながら
笑顔でそう言った。
「如月…もう教師なんかやめろよ!」
「…へ?」
「俺、お前のことが好きなんだ。離れたくないんだ。だから、もう教師なんてやめろよ!」
花宮くんはそう言って私の手を握った。
「…。」
「お前と一緒に居れるなら俺、学校辞めて働くからっ、なんだってするから…だからどこにも行くなよっ!」
普段はこんなに感情を表に出さなくて、
何事も必死にならない彼が必死で私に訴えてきた。
その姿に思わず、女として
『うん』と
言いたくなってしまったが、
私はその返事を飲み込んだ。
「ねぇ、花宮くん。先生はすごく嬉しいでも、それには『うん』とは頷けない。」
「…え?」
「私も花宮くんが好きだった。"生徒"としてではなく"男性"として。でもね、男女である前に私とあなたは生徒と先生なの。だから、その気持ちには答えられない。」
「…っ。」
「また、花宮くんが大人になったら迎えに来てよ。先生待ってるから。」
私はそう言って、
花宮真の頭を撫でて、
彼に背を向けて歩みはじめた。
涙が止まらなかった。