第4章 コウカンニッキ。
理由は単純だった
ただただ、
自分の気持ちに気付いてしまうのが怖かったから。
花宮真と話している時間は楽しくて、
毎日の交換ノートも毎日の楽しみになっていて…
メールだって電話だって
したかった。
でも、してしまったら…
もう教師ではいられないような気がした。
私は気がつかないうちに
花宮くんの事を"生徒"ではなく"男性"として
見ていたのかもしれない…。
そう。
彼と話してしまうと
自分の感情に気付いてしまうから。
私は怖かった。
私は離任の挨拶もさせてもらえないまま
転勤になった。
荷物は既に引越しのトラックが運び、
私は少しの間お世話になったアパートを眺めていた。
『如月っ!!!!』
数日振りに聞いた声に驚き、
私は振り返った。
そこには、花宮真がいた。
「花宮くん!?」
花宮くんは走ってきたのか息を切らしていた。