第2章 楓。
すると彼女は立ち上がり、こちらへやって来た。
「さっきの、もう一度言ってください。」
彼女はニコっと笑いそう言った。
「…ドライブスルーまでドライブするー?」
俺は言われた通り、先程の傑作をもう一度言った。
「…っぷははは!それ、すっごい面白いですね!」
彼女は子供のように鼻にシワを寄せてクシャっと笑った。
「そうでしょ!なかなかの出来だと自分でも思ってます!」
思わず嬉しくなり、俺もつられて笑った。
「…他には?」
彼女は俺の隣に座り、俺の顔を覗きこんだ。
「えーっと…」
それから俺は彼女にネタ帳から渾身のダジャレの数々を披露した。
彼女は笑ったり、
感心したり、いろいろな反応を見せてくれた。
単純にそれが嬉しくて、楽しかった。
それから、俺は木吉のお見舞いに病院に行くたび彼女と会った。
「あ!伊月くんだ!今日も新作のネタできたー?」
彼女は俺を見つけると嬉しそうに俺の隣に座る。
「あったりまえっすよ!期待しててください!」
そう、それがいつしか当たり前になってて、
少しばかりの毎日の楽しみになっていた。