第10章 しんでれらがーる☆
次の日の朝。
寝癖がどうしても治らず、
私はいつもおろしている髪を
二つに結って学校へ向かった。
教室につくと、
高尾くんはキラキラとした華やかな女の子達に
囲まれて楽しそうに話していた。
私は席につくと、
読み終わった小説を緑間くんに貸そうと
本を持って緑間くんの方へ向かった。
「あの、これ読み終わったのでどうぞ。」
私が小説を差し出すと
緑間くんは受け取った。
「ありがとうなのだよ。」
緑間くんはニコっと笑った。
それから緑間くんは私をじっと見つめた。
「…如月。髪型変えたか?」
「へ?あ…寝癖が治らなくて…今日は結んできました。」
私がそういうと、
緑間くんはじーっと私を見つめた。
「…その髪型の方が可愛いのだよ。」
緑間くんはボソっとそう呟くと
早速小説を読み始めた。
その言葉にどう反応していいかわからず、
私は軽く会釈をすると、
自分の席に戻った。
バクバクと高鳴る胸を落ち着かせようと、
私は持ってきた別の本を眺めた。
別にきっと彼にとっては何てことない一言だったのかもしれない。
でも、初めてだった。
男の子に『可愛い』と言われたのが…。