第2章 中編
夜。私はまだこのカプセルコーポレーションにいた。
流石に泊まらせてもらう事までは考えていなかったのだが、お金のことを気遣ってブルマさんが部屋をひとつ貸してくれたのだ。
野宿するつもりだったことを言うと、ブルマさんには「女の子が野宿なんてとんでもない!」と怒られ、トランクスにも、「そうですよ! また昼間みたいな男に絡まれたらどうするんですか!」と真剣な顔で反対されてしまった。
いくら「大丈夫ですよ」と言っても二人とも聞いてくれなかった。
(今までだってほとんど野宿だったし、トランクスも私が強いのは見てるはずなのに……)
夜、私はシャワールームで体を洗いながらひとりごちる。
でも悪い気はしなかった。
こんなに「普通の女の子」扱いをされるのは、久し振りだったから。
目の前にあった鏡に映る自分を見て、私はふっと笑う。
「普通の女の子はこんなに筋肉ついてないし、それに肌ももっとキレイだよね」
日に焼けた傷だらけの身体。
それはこれまで強くなるために必死で鍛えてきた、その証だ。
だから恥かしいとは思わなかった。
これは、私が生きてきた証そのものなのだから。