第1章 前編
「ご馳走様! とっても美味しかったです」
「それは良かったわ。でも何でそんなに何日も食べてなかったわけ?」
テーブルの向かいの席に座ったブルマさんが興味津々と言った感じで体を乗り出してきた。
「あー、えっと、ちょっと人探しの旅をしてまして、途中で手持ちのお金がなくなっちゃったんです」
「そうだったの。それは大変だったわねぇ。人探しってどこから来たの?」
出身地を言うとかなり大げさに驚かれてしまった。
「そんなに遠くから!? しかも歩きで?」
「はい。飛行機とか買えるお金は元々無かったですし」
苦笑しながら言うと、それまで横で話を聞いていたトランクスが真剣な顔で口を開いた。
「その探している人って、この西の都にいるんですか?」
「そう噂で聞いて、ここまで来たの」
「噂?」
「そう。話で聞いたことがあるだけで、顔も知らないからホント無謀なんだけどね、あはは」
「一体どんな人なわけ? ほら、私結構顔広いし、知っている人かもしれないわ」
私は瞬間、目的が目的だけに言っていいものか迷う。
でも、どんなに小さな情報でも無いよりはあったほうがいい。理由は適当に誤魔化せばいいのだ。
「……あの人造人間たちを倒した、金色の戦士を探しているんです」
言った瞬間、二人の顔が凍りついた。
私はガタンと椅子から立ち上がり聞く。
「知っているんですね! どこにいるんです? 金色の戦士は!」
二人は一瞬顔を見合わせた後、すぐに私を見上げた。
「俺、彼とは一度会ったことはあるんですが、どこにいるかは知らないんです。すいません」
「私も、トランクスから話を聞いただけなのよ。ごめんなさいね、役に立てなくて」
2人からほぼ同時に謝られ、私は仕方なく再び椅子に座り直す。
「そうですか……」
(ううん、違う。絶対何か知ってるんだ。絶対、何か隠してる……!)