第4章 エピローグ
――朝。
私は朝食を御馳走になった後、すぐに少ない荷物をまとめた。
あたたかな陽の下、もう一度カプセルコーポレーションの外観を見上げる。その建物はやはりとても大きかった。
「本当に、行ってしまうんですか?」
トランクスが残念そうに言ってくれる。
それが嬉しくて、私はにっこり笑って言う。
「うん、ずっとここに御世話になるわけにはいかないし」
「ウチは全然構わないのよ。でも本当に歩いていくの?」
「はい。もう一度、歩いて帰りたいんです」
復讐心から解き放たれたからか、今、全てが明るく見えた。
もう一度、この目で世界を見て歩きたかった。
「この子の背中に乗っていけば、あっという間に着いちゃうわよ? なんならお姫様抱っこでもいいのよ?」
「母さん!」
「あはは、でもそれじゃあ意味が無い気がして……。故郷に戻って、お母さん達のお墓、ちゃんと作ってあげたいんです」
「そう、ですか」
「うん」
少しの沈黙のあと、彼が思い切るように口を開いた。
「会いに行っていいですか?」
「え?」
「さんの故郷に……さんに、会いに行ってもいいですか?」
また赤い顔。
でも真剣な瞳に見つめられて、私は自分の顔も同じように赤くなっていくのがわかった。
「う、うん」
「あ、ありがとうございます!」
嬉しそうに、でも恥かしげに眉を下げて笑うトランクス。
その顔を見て、私も微笑んだ。
気付けば、そこにブルマさんの姿は無かった。