第2章 中編
背後からの低い声に気付き、私はバっと振り返る。
ブルマさんも驚いたように声を上げた。
リビングの入口にいたのは紫色の髪をした青年。
先ほどの赤い顔をしていた彼と同一人物とは思えないほどに、その表情は落ち着いていた。
ブルーの瞳が、鋭く私を見つめている。……なぜか、冷や汗が出てくるのを感じた。
それは今の話を聞かれてしまったから、というわけではなくて――。
「金色の戦士と戦えば、貴方の気は済むんですね」
「トランクス! やめなさい!!」
ブルマさんが叫ぶ。
私は睨み返すように彼を見つめ、頷いた。
すると、彼は一度ゆっくり目を閉じ言った。
「わかりました」
「トランクス!!」
「でも、約束してください」
「え?」
「金色の戦士と戦ったら、もう、その深い悲しみから解放されてください」
その言葉の意味はわからなかった。
――身体が、金縛りに合ったように動かなかった。全身から汗が噴出していた。
目の前の青年から溢れ出ていたもの。それは、これまでに感じたことの無い――凄まじい“気”。
そしてそれが一気に爆発する。
一瞬本当に爆発が起きたのかと、私は目を瞑りとっさに受け身を取っていた。
肌が、ビリビリと痛いくらいに痺れる。
目を開けると、視界が金色に染まっていた。
違う、目の前の青年が金色の光に包まれていた。
穏やかなブルーの瞳をした青年はもうそこにはいない。
そこに居たのは、金色の戦士――。