第2章 中編
「ほ、本当のことと言われても……」
内心焦りつつ私は言う。と、ブルマさんは一つ小さく息を吐いて続けた。
「多いのよ」
「え?」
「金色の戦士に会いたいって人」
「そ、そりゃそうですよ、誰だってお礼を言いたいに決まって……」
「そうね、殆どの人はそう。……でもね、たまにいるの。仇である人造人間を殺されてしまって、行き場の無い怒りを金色の戦士にぶつける人がね」
どきりとする。
――気付かれている。違う、もしかして最初から気付かれていたのかもしれない。
私はテーブルの下で拳を握る。
「なんで……」
「そういう人たちは皆同じ顔をしてる。見れば、すぐにわかるわ」
沈黙の時が流れる。
それを破ったのは私の低い声。
「彼に、会わせて下さい」
「ダメよ」
「会わせて下さい」
ゆっくりと首を振るブルマさん。
「――っ、知っているんでしょう!? 彼の居場所を! 金色の戦士に会わせてください!!」
「彼と戦って何になるの? 例え彼を倒すことが出来ても貴方には何も残らないわ。……何も戻ってこない」
立ち上がって叫んだ私を見上げて、ブルマさんは静かに言う。
その態度にイライラして、私はテーブルを強く叩いた。
「そんなことはわかってる! ……でも、私はずっと、家族の仇を討つために生きてきた。そのためにたくさん修行して、こうして強くなった! なのに人造人間が居なくなってしまって、これじゃあ私は何のために生きてきたのかわからない!! だから、金色の戦士と戦って」
「戦えば、いいんですか?」
「!」
「トランクス!?」