第9章 王の射手
「お、おおおお!!?」
「そんなに凄いか?」
「すげーよ!ちょーごうか!」
「どこが?」
「とりあえずお前の金銭感覚がおかしいことはわかった」
アオネさんにおんぶされてる俺は、カゲヤマと目線を同じくして、イワイズミさんとケンマが用意した馬車を見上げた。
今まで見てきた馬車の中で、1番ものがいいってのは、こういうものに詳しくない俺でもわかるくらい、なんて言うか、光ってる。
「おら、さっさと乗れ。出発だ」
2頭の馬の手綱を握るイワイズミさんに催促されて、先にアオネさんと俺が乗り込む。
中には、向かい合うように柔らかいソファが取り付けられ、天井にはランプを吊せるようになっていた。
「ショウヨウ、これ使って」
ケンマが丸められた毛布を差し出す。
「なるべく身体の末端を冷やさないように、血流を良くして」
「うん!ありがと!」
ケンマは黙って頷くと、馬車に乗り込んで、俺とアオネさんの向かい側に座った。
カゲヤマも弓矢を持って馬車の後部に陣取る。
「全員乗ったか?カゲヤマ、後ろは任せたからな」
「はい!」
イワイズミさんの掛け声で馬車は進み、門を通った。
イケジリさんが使っていた荷馬車よりは、揺れを感じない。