第6章 勇者の剣
「?????」
俺が首を傾げていると、王様が叫んだ。
「勇者様の復活だー!」
「ゆうううしゃあああああああ??!!」
俺は思わず剣を穴に戻した。
「俺が勇者とかあり得ません!何かの間違いです!」
「そんな訳ない!お主が勇者だ!ヒナタ ショウヨウ殿!」
王様が感極まって涙目になってる。
「あの予言は本物だった!『小柄な少年が剣を抜く』と!」
騎士や使用人も帽子やバンダナを投げて喜んでる。
無い無い無い!絶対無い!
俺はアオネさんとイケジリさんを見てみたが、2人とも複雑そうな顔をしてる。
「さあ、剣を持って降りてきてくれ!」
王様に命令されたら降りるしかない。
俺はもう一度剣を持って(やっぱり軽い)、岩を降りる。すると、梯子を使わずとも、難なく滑り降りれた。
(剣の、力?)
その後は嵐のように祝杯をあげる宴が始まり、月が昇る頃に王族・貴族が王城に詰め掛けた。
たくさんの人に声をかけられまくられ、剣を触りたい放題されて、豪華なこの空間に居るのが苦しくて、逃げた。
月明かりが差し込む静かな廊下を歩いて、どこかにベンチがないか探してると、
「ヒナタ」
「アオネさん!!」
後ろからアオネさんが歩いて来た。
廊下の壁に申し訳程度に設置されたベンチに、2人並んで座る。
「はぁー、疲れたー」
俺が大きく息を吐くと、アオネさんは優しく頭を撫でてくれた。
「そういえば、イケジリさんは宴の前に帰っちゃったんだよね。仕事があるからって」
アオネさんは頷いた。
「お礼、言いそびれちゃった」
森から王都まで運んでくれた事、王都の案内、王城の入り方……、短い間だったけど、すごくお世話になった。
俺とアオネさんが一息入れていると、
「今晩の主役が、こんなとこで何してんだ?」
1人の騎士が声を掛けてきた。